海外人事セミナーGLOBAL HR SEMINAR

概算算定の考え方

海外勤務者給与を大まかに算定するために行った手順は、次のとおりです。

① 非消費支出額の算定

まず、入力していただいたモデルの理論年収と家族構成のデータを元に、所得税および住民税、社会保険料の個人負担分を計算し、そのモデルの非消費支出額を算定します。計算には現行の税率、社会保険料率を用いています。

② 実年収と消費支出の推定

次に、総務省家計調査年報のデータを元に、既婚者と独身者の別に回帰式を作成してモデルの実年収と消費支出の額を推定します。すでにモデルの非消費支出額を算定しているので、家計の黒字も推定できます。

③ 円建て月例給与の算定

海外勤務中も社会保険料個人負担分と家計の黒字は円貨で保障する必要があります。みなし税(理論税を按分したもの)控除後の賞与がその支給手段となりますが、賞与では支払い切れない社会保険料個人負担分と家計の黒字を、円建て月例給与として算定します。単身赴任者については、家族残留状況に応じて消費支出額の一定率を残留家族生計費として円建て月例給与に加えます。

④ 海外勤務手当

海外勤務への動機付けのために金銭的インセンティブを与える必要があると判断し、家計の黒字月額の半額を、使い道を指定しない海外勤務手当として算定しています。ハードシップ手当を別に算定する場合も、同じく家計の黒字月額が算定ベースとなります。

⑤ 現地通貨建て給与

最後に、現地生計費見合いとして支給される現地通貨建て給与の概算です。家賃と医療費は妥当な範囲内で全額会社負担することが望ましいので、現地通貨建て給与には、これらの費用見合いは含まれません。他に、任地で通園・通学をする子女がいる場合、教育費実費も全額会社負担が望まれるので、その費用見合いも含まれません。自動車については、会社が貸与する場合も貸与しない場合もあるので、貸与するのであれば、その費用見合いは含まれません。

海外勤務中は、少なくとも国内勤務時の生活水準を維持することが求められます。現地通貨建て給与の概算は、モデルの国内勤務時の消費支出額から、海外勤務時には会社負担になる上記の費用見合いを控除することから始めます。家賃と医療費見合いは全員から控除しますが、自動車の費用見合いは、控除する場合もあれば控除しない場合もあります。任地で通園・通学する子女がいる場合は、教育費見合いを控除します。

このように会社負担とする費目を控除した後に残る国内勤務時の消費支出額が現地通貨建て給与の算定ベースとなります。次に、東京または大阪と任地の物価差を示す「生計費指数」をこの算定ベースに掛けます。これに適当な換算レートを用いると現地生計費見合いの「現地通貨建て給与」が得られます。

⑥ ご利用にあたっての注意

概算の手順は以上のとおりですが、あくまでも、参考としてご利用ください。最終決定額としては使用できない理由は、次のとおりです。

  • 家計調査年報のデータはサンプル数が十分ではなく、しかも世帯ごとに消費の内容にかなりのバラツキがあるため、費目ごとの消費金額を得るために算定した回帰式は、十分に信頼性があるとは言えません。
  • 運営者が用いている生計費指数は、「世界銀行 国際比較プログラム(ICP)2021年の物価水準(世界平均=100、家計最終消費支出ベースの国別値)」をベースとしています。2021年以降の円安とインフレ差の補正係数を掛けた上で、現在の東京を100として各都市の指数を算定し、さらに運営者の経験的な判断を加えて、これらの指数を10グループに分けて、100から10刻みで決定しています。今なお物価が日本より安い国の都市については、すべて100としています。

そもそも、世界銀行のICPデータは、都市別ではなく、住居費も含んでおり、その加工は、運営者の個人的判断の影響をかなり強く受けています。

出典:World Bank, International Comparison Program (ICP) 2021(CC BY 4.0)。数値を加工しています。この表示は世界銀行の承認を示すものではありません。

ご要望があれば、現地通貨建て給与の概算に用いた「生計費指数」をお知らせすることができます。また、このシートで算定された概算額と現行の支給水準との間に大きな乖離があれば、その理由と改善策を有料でアドバイスさせていただくこともできます。お問い合わせフォームからご連絡ください。

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